トップインタビュー

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卸売業から「Only SHOBIDO」戦略を通じて「真のメーカー化」に取り組む粧美堂グループ。「変化する種」※1というDNAの実践を通じて、「粧美堂ブランド(NB)」戦略と「モノづくりのパートナー(PB)」戦略の両輪を回し、「美を創る」総合企画メーカーとして進化を続ける取り組みの現状と今後の重点施策や経営方針についてご紹介します。

※1変化する種。粧美堂のDNAは、イギリスの博物学者であるチャールズ・ダーウィンの著書『種の起源』の一節から引用した「変化する種」という言葉に象徴されます。

ー 代表取締役社長 寺田 正秀

「変化する種」というDNAを実践し、
「Only SHOBIDO」戦略に取り組むことで、
粧美堂だからこその価値創出を追求してまいります。

当社の変遷
―卸売業から「総合企画メーカー」へ―

当社は業績拡大に加え、2024年からの新NISAスタートを機に、新たに当社を応援してくださる株主の皆様も増えています。
今回は、卸売業から「総合企画メーカー」へと進化してきた当社の歩みをご紹介いたします。

当社の原点は、創業者・寺田正次が戦後、東大阪で化粧道具の仕入れ販売を始めたことにあります。商品をリュックに詰めて汽車で問屋を回る行商のような日々の中、戦後日本の復興とともに事業を拡大。「日本は必ず豊かになる」という信念が、当社の挑戦の出発点となりました。

1970年代、二代目の寺田一郎(現会長)が入社した頃、(株)ダイエーや(株)ニチイ(現イオンリテール(株))など大型小売チェーンが台頭。地方問屋が淘汰される中、当社は売上の半分を占めていた問屋取引を思い切ってやめ、大手小売チェーンへの直販に転換。同業の問屋が動けない中で変化に踏み出したこの決断こそ、「変化する種」という当社のDNAを象徴する出来事でした。

その後、ピオニオーナメント(株)や東京粧美堂(株)を設立し、メーカー機能を強化。ツバキ(株)の買収を通じて(株)サンリオのライセンスを取得し、キャラクタービジネスに参入しました。NAF NAF(ナフナフ)など海外ブランドの展開やフランスの老舗カフェ「カフェ・ド・フロール」と契約し、飲食業に進出するなど、新分野にも挑戦。つけまつげのヒットなどもあり2009年に上場しましたが、当時はまだ卸発想のモノづくりで、売上至上主義の時代でした。

転機は2019年の中期経営方針です。「真のメーカー化」を掲げ、重点販売先ごとの採算管理や部門利益率の導入により、利益を意識した経営体質へ改革。2020年には社名を「SHO-BI株式会社」から創業時の「粧美堂株式会社」に戻し、「Only SHOBIDO」戦略を推進。黒を基調としたパッケージデザインの統一など、ブランド価値の確立を進めました。

2021年にはアジャイル型の14チーム体制へ移行し、スピードと柔軟性を両立。「モノづくりのパートナー」として、小売企業のPB商品開発や別注商品の企画・製造を担い、単なる下請けではなく、企画から販売まで提案できる企業へ進化。部門利益率の定着により、社員が自律的に収益性を高める文化が根付き、5期連続の増収増益を達成、利益率も大幅に改善しています。

かつて「ついで買い」と言われた商品群も、今では“選んで”買ってもらえる “こだわりの商品”へと成長。SNS発信、インバウンド需要の取り込み、キャラクタービジネスの拡大など、時代の変化を捉えながら、粧美堂はこれからも「変化する種」として進化を続けてまいります。

2025年9月期(当期)の事業活動レビュー

事業構造改革の成果が結実

当期は過去最高益を達成しました。これは一時的な要因ではなく、ここ数年取り組んできた事業構造改革の成果が結実した結果だと考えています。何か一つというよりも、複合的な要素がすべて噛み合ったことが成長に寄与しました。

特に大きかったのは、「Only SHOBIDO」にこだわったモノづくりの定着です。2019年の改革以降、「当社でしかできないものを作らなければ価格競争に巻き込まれる」との方針を徹底し、商品企画部を中心に独自性を追求してきました。その結果として、ヒートカーラーや束感まつげシリーズなど、粧美堂らしさを象徴するヒット商品が生まれました。

また、NBは当期72億円まで拡大し、ECも約40%の成長率を達成。キャラクター商品では「サンリオ」や「ちいかわ」に加え、「セボンスター」などお菓子系IPの活用や、ブラインド商品※2といった新カテゴリー創出など、時流を捉えた商品展開が実現できました。

「部門利益率」と成果主義の導入

組織改革は、2019年の中期経営方針から本格的に始まりました。特に重視したのが「部門利益率」の導入です。本社経費を除き、各チームが自らコントロールできる範囲の利益を明確にすることで、社員一人ひとりが利益について真剣に考えるようになりました。

また、人事制度も成果主義へ転換し、インセンティブ比率を高く設定。成果主義のもと、前年は目標を達成できず厳しい評価だったチームが部門利益率15%超を達成するなど、着実に成果が表れています。全社的にもここ数年は目標を超過達成し、その超過分の一定割合の決算賞与を貢献度に応じて支給し、成功体験が社員のモチベーション向上につながりました。結果として5期連続の増収増益を実現し、意識改革が確実に根付いています。

NB※3とPB※4の両輪戦略の進展

NBでは徹底的にこだわったモノづくりを進めています。低価格でも売れればいいという従来の考えではなく、中身や機能性にこだわって価格を上げることにチャレンジし、売れる確証を得ることができました。当社しか出すことのできない商品には十分な付加価値があるという考え方が浸透し、粗利率が大きく改善しました。

代表取締役社長 寺田 正秀

また、NBで培った商品力とスピード感が、PBでの提案力につながっています。逆にPBで得た市場情報や販売先のニーズが、NBの商品開発に活かされており、両輪戦略の相乗効果を発揮しています。

※2ブラインド商品。中身が見えない商品のことを指します。「ランダム商品」とも呼ばれ、開けるまで中身が分からない、開封する行為そのものも楽しめるのが特徴。

※3ナショナルブランド商品。粧美堂自身のブランド製やオリジナル付加価値を前面に出す商品群

※4プライベートブランド商品。取引先向けに、販売チャネル・顧客層に合わせて企画した商品群

2026年9月期の重点施策と経営方針について

80期に向けた数値目標

当社では、3年後の2028年9月期(80期)に売上250億円、営業利益25億円という目標を掲げ、その実現のため営業利益率10%、NBの売上100億円、ECでの売上25億円という具体的な数値目標を全社で共有しています。新たな展開としてECでしか買えない、機能性にこだわった高単価商品の投入を進めています。

化粧品事業の強化に向けた体制再構築

当社は、化粧品事業のさらなる強化を目的に、(株)ピコモンテ・ジャパンをグループ化しました。同社は海外の製造ネットワークを活かし、企画に応じて最適な調達提案や製造支援を行う体制を持っており、この機能を内製化することで、当社のモノづくりはよりスピーディーで柔軟なものとなります。

一方、今後の事業展開において多様な生産体制の柔軟性を重視する方針から、グループ会社であったビューティードア(株)は譲渡いたしました。変化に応じて最適な体制を選ぶことも、当社のDNAである「変化する種」の実践と位置づけています。

株主・投資家の皆様へのメッセージ

単なるこれまでの延長線上ではなく、「Only SHOBIDO」をどれだけ生み出せるかという新たな挑戦が始まっています。事業は概ね順調に推移しており、次に何を手掛けるかという手応えも感じています。一方で、キャラクター人気の移り変わりや大手小売業の戦略の変化など、環境変化への対応も求められています。しかし当社には、情報力とスピードを活かしてトレンドを的確に捉え、迅速に商品化できる機動力があります。情報の収集、意思決定、商品化の3つのプロセスをいち早く実行できることが、当社の強みであり、成果を生む原動力です。

今後も、粧美堂だからこその価値創出を追求してまいります。「美を創る」企業として進化を続ける当社グループを引き続きご支援くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

2025年9月期 連結業績/2026年9月期 連結業績予想
2025年9月期 連結業績/2026年9月期 連結業績予想
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